博士課程の充足率をどうやって増やすか、と、博士課程修了者の進路をどうやって開拓するか、という、ニワトリと卵的な問題を、企業の人事(も)担当者を交えて話し合うフォーラムが開かれた。物理学教室の教員研修も兼ねているというのに、教員の出席者は「ぼちぼち」で、若い顔が多かった。偶然にも、パネラーのお一人は出身研究室の先輩だったので、懇親会が終わった後に、僕のオフィスで色々と話しを伺うことができた。
結局のところ、企業の方々は「よい人だったら採用します」という、ごく当たり前のことを、多少のリップサービスを交えながら語っていただけのように思えるし、人材育成について、大学に対して特段の期待も無さそうに見えた。
大手企業はもともと博士修了者でも区別することなく当たり前のように採用しているので、いまさら議論すべき余地はあまり無さそうだった。博士を出た優秀な人が、いきなりの起業は難しいにしても、もっと幅広く社会で活躍できるのが望ましいと、きっと誰だって思っているだろうけれども、そうすると、従来のような「キャリアパス」的な発想そのものが足かせになりそうな気もする。
その先輩が勤めている会社には、東北大(物理とは限らない)からの応募が毎年あるけれども、採用されるのは、楽天のフェルナンデスの打率くらいのものらしい。面接でのやりとりが上手くできなかったり、質問に対して、うつむいて考え込んでしまう学生もたまに居るとか。その反面、採用してみると、予想以上に「よい人材」であった、という場合もあるそうだ。
打率を上げるだけなら、楽天の成績を上げるのに較べれば、ずっと簡単かもしれない。