しばらく前に担当した情報の授業は、もともと受講者が少なく、広い教室ががらんとしてちょっと寂しい反面、熱心な学生ばかりだったので、教える側としてはとても楽だった。自宅のパソコンでも、大学の教室と似たような環境を作る方法として、CDで起動するLinux (Knnopix)を紹介したら、ある学生からCDに焼いて欲しいという申し出があったので、翌週、その学生に1セット差し上げた。一人にだけサービスするのも公平でないと思って、教室に居る全員に、
「他にもCDが必要な人があったら、来週持って来るようにしますので、授業が終わってから申し出てください」
と知らせところ、ちょっと嬉しいことに、授業が終わると、数名の学生がぞろぞろこちらにやってきた。
すると、(普段あまり見かけなかったような)一人目の学生が、いきなり、
「あのー、授業中にCDがどーたら、こーたらって、言っていたじゃないすか? あれって、何っすか?・・・」
と話しかけてきたので、さすがに、ちょっと身が後ろに引けてしまった。
コミュニケーションの場で、切り出し方っていうのは、とても難しいと思う。その後の会話内容から察するに、きっと、その学生は、
「すいません、先生、ちょっとお尋ねしたいのですが、僕は出席状況のほうはあまり芳しくないのですが、リポートはがんばって取り組みたいと思っているんです。それで、成績評価に出席はどの程度反映されるものか、知りたいのですが。」
と質問したかったのだろう。けれども、いきなり成績のことから始めるのも野暮ったいので、(学生なりの気遣いで)、授業中に話題に出たCDの件から切り出したのかなぁ、と。
でも、「どーたら、こーたら」には、教員としては、ちょっぴり傷つきました。