東大を含むほとんどの大学の物理学専攻で、博士後期への進学者が定員をかなり割り込んでいるらしい。特に、この大学はその傾向が顕著とのこと。対策を練るための委員会が急遽立ち上がったり、教室会議で説明・議論があったりと、ここにきて、急に危機感が高まって(高められて)いる。
そもそも定員がどのように決まっているのかよく知らないけれど、ポスドク1万人とか、女性教員比率20%とか、色々な数値の根拠なんて実はあいまいなもので、キリが良いからとか、誰かのちょっとした思い付きで出た数を、後から(頭のよい)誰かが最もらしく肉付けしただけのような気がする。さすがに学生の定員は、その当時はちゃんとした根拠のもとに算出されたのだろうが、教育目標とリソースの兼ね合いから見て、現在のこの専攻にとって適正な数なのかどうかを誰も問題にしないところを見ると、定員割れは基本的に我々の「落ち度」であると、暗黙に了解されているのだろうか。
使い古された作戦は、専攻名やコース名を変えて、「宇宙・マテリアル・バイオ情報数理」的な看板を掲げることだろうが、大学院くらいになると相手も子供じゃないので、もうこの手は通じないだろう。
後期課程の間口を広げて、敷居も下げるのは、悪いことではないと思うけれど、大学院教育の目的から考え直さないと、学生と教員の意識のギャップはどんどん広がりそうだ。理念に沿って数を調整できないのなら、数に合わせて理念を修正するほかないだろうと。でも、そういうのって、理念とは言わないような気もするけど。