金平糖(金米糖とも書く)は、その「角」がとても印象的な、誰でも知っている砂糖菓子である。元々は16世紀頃にポルトガルの宣教師によって日本に伝えられた砂糖菓子に、この国でさらに改良が加えられて、我々の知る「かたち」に発展したものらしい。21世紀の現在でも比較的簡単に入手できるし、新聞などを見ると皇室の贈答品としても使われているようで、代表的な和菓子であることは言うまでもない。金平糖の歴史やその特徴ある形への興味については、寺田寅彦の随筆[1]や福島のパイオニア的な研究[2]がよく知られているし、その後にもすぐれた著述があるので、ここではいくつかの文献を挙げるにとどめたい[3-8]。
すでにご存じの読者も多いとは思うが、まずここで一般的な金平糖の製法を復習しておこう。
図1:実験で作製した金平糖。左からそれぞれ、4時間、10時間、18時間、 経過後の試料。図中の1目盛りは1mm。 |
菓子工場では、径が1m以上もある大きな鍋が使われているが、小規模な装置であっても角を生やすことができるようで、例えば、エバポレーターのフラスコ中に小さな粒子を入れ、回転させながらショ糖液を滴下しても、金平糖の成長が観察されたという記事を以前にWEB上で見かけたことがある(残念ながら執筆時点でそのサイトを見つけることができなかった)。
© Yoshinori Hayakawa (2007)