研究室のロゴ
大きな研究室や研究プロジェクトになると、必ず、ロゴを作りましょうということになる。よく見かけるのは、その研究に関係するいろんなシンボルがてんこ盛りになって、おまけにプロジェクトの略称の英文字などもあしらってあったりするもので、遠くから見ると(近くからでも)、何が描かれているのかさっぱりわからかったりする。発表のスライドには、プロジェクトや組織のロゴがいくつも並んでいたりして、たくさんのものを背負ってやっておられる様子が伝わってきたりもする。
ここのように、あらゆる点で「小さな」研究室には、結束の証といった意味でのロゴはそもそも必要無いし、そういうのをパワポに飾るのは却って格好が悪いと、僕自身は感じていた。研究室の前に、ボスの名前をはめ込んで、「誰それ研」の様に呼ぶのでさえ、何となく抵抗を感じるくらいだ。
でも、それは個人的な感覚に過ぎないので、あるときお昼を食べながら、学生に「他の研究室にはロゴがあったりするけど、ウチにもそういうのがあったほうがいいのかしらん。どう思う?」と尋ねたところ、意外にも、「そりゃあ、あったほうが良いでしょう」との回答。そうは言っても、やっている内容は皆ばらばらだし、シンボルになるようなものってないなぁ・・・、と困っていたら、「けん玉はどうでしょうか」との提案をいただいた。
ちょうど、前の週末に、スーパーで晩ご飯の食材を見て回っていたところ、レジのそばの、いつもなら昔の歌謡曲のCDなんかが並んでいるあたりに、工芸品を販売する臨時のコーナーが設けてあって、つい足がとまった。その中に、ちょっといい感じの、「日本けん玉協会認定」のけん玉が1450円で販売されていた。普段はあまり衝動買いはしないほうなのだけれども、売り場をもう一周回るうちに、何故か無性にそれを手に入れたくなってきた。そのコーナーの店主は、つりを渡しながら、「替えの紐も入っていますから」と、唐突に僕に告げた。どうやら紐が切れるくらいまで使い込まれることが想定されているらしい。
月曜の朝のミーティングで、学生たちにそのけん玉を見せながら、「作りがそこらの『おもちゃ』とは違いますよ、これは。」などと僕が自慢したことを覚えていて、とっさに「けん玉」が頭に浮かんだのだろう。
さすがに「けん玉か・・・」とは思ったけれども、無理くり理由をこじつけて、研究室のマークにしてしまうことにした:
- けんだまは、研究者の卵を育てる場、を意味するのである
- けんだまは、研究する者の魂をもシンボリックに表しているのである
- けんだまの枝と玉の部分は紐で結ばれているが、これは、研究室の仲間の、ゆるいながらも、確かな結束を表しているのである
ということで、けん玉をあしらったデザインを何通りか考えて(左図参照)、今後、気が向いたら、発表のスライドなどに使ってみることにした。
けれども、どう見ても、遊びのサークルのマークくらいにしか見えないような気がする。ま、いいか。