妻が突然「農業園芸センターに行きたい」と言いだした。 仙台平野の田んぼの真中にあって,ラジオの送信所の隣の,普通の民家はとても建てられないような場所に,周りの景観とは少々調和を欠いた花壇や芝生,そして一際大きな温室が「整備」されており,近所の農家の野菜の即売所や植木市がいつも開かれているところ。そして,同センターのWEBサイトによれば「街にいちばん近い,花のオアシス」 仙台市農業園芸センターへ,である。
なんて風に書くと,私はその場所の存在をあまり好ましく考えておらず,まして,そこに出かけることなど勘弁願いたい・・・と読めてしまうけれども, 実のところは,こういうなんだかわけのわからない場所に出かけるのは大好きだったりする。
この時期は「バラまつり」が開催されていて,無料で世界中の色々な種類の薔薇を鑑賞することができる。カメラで熱心に写真を撮ってまわっている人が多かったが,中には,花に鼻を押し付けて匂いを嗅いでまわる怪しい老人もいた。 前世は何かの昆虫だったのかもしれない・・・
白薔薇のフェンスの前で白い蝶が舞っているのを見かけたが,すぐに見失ってしまう。 そして地面には,蝶の屍骸のように花びらが降りつもっていた。