気球

日曜日の朝が一番好きだ。 車の往来は少なく、アパートもいつもよりひっそりしている。 長めに風呂(シャワー)に入って、適当に朝ご飯をこしらえ、悪いことばかりのニュースを見て、ついでに天気予報もチェックする。 

だらだらと過ごしていると、あっという間に昼になってしまうので、「仕方なく」テクテクとショッピングモールまで買い出しに出かける。 出張中だけとはいえ、独り者の侘びしさをちょっと感じる。 エディット・ピアフの選集みたいなのと、シューマンのピアノ曲集のCDを買ったら、レジの女の子がなんだかんだと話しかけてくれた。「マルタ・アルゲリッチのマルタは、日本語で「丸太」という風に読めて、確かにそんな感じがしませんか?」と下手な英語で言ったら、分かってもらえたのがちょっと嬉しかった。

いい加減くたびれてアパートに戻ると、アパートのすぐそばから気球が大空に上がりはじめた。 大きく手を振りたい気分になった。


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