暗くなって、一人てくてくアパートに向かう。 貨物列車の警笛が聞こえたので、足をとめて振り返った。
この町には線路が横切っていて、日に数回、長い貨物列車がゆっくりと通り過ぎてゆく。 決まった時刻に走っているのかどうか確かめようと、警笛が聞こえる度に紙にその時刻を書きとめていたけれど、結局、時刻表をつくるのはあきらめた。 メモの上に並んだ時刻に、ほとんど規則性がないのだ。
貨車のスピードはあまりに遅く、そのままひょいと飛び乗って旅に出ることもできそうだ。 今は貨車しか走っていないけれども、昔は旅客サービスがあって、この小さな町から全米に出かけることができたという。