石の牛

どうしてだったかはもう忘れてしまったけれども、しばらく前、妻と電車で塩釜神社に出かけてきた。初詣ともなればものすごい人波になるはずの参道も、別段何もない休日は人影もまばら。散歩するにはちょうど良い。

ここは歴史のある神社らしいので、あちらこちらに面白そうなモノが転がって(置かれて)いる。例えばこの牛。確か隣に縁起の書かれた看板があったと思うのだが、何が書いてあったのかは忘れてしまった。けれども、なにやら有難いモノには違いなく、鼻のところには随分と摩られた痕があるし、頭の上にはお金までのせられている。

最近は狂牛病騒ぎで随分と冷遇されている牛だけれど、まさか石でできた牛までが敬遠されることはないだろうな。

以前に高松にでかけた時に、香川大学の友人と栗林公園を散歩した。そこは立派でよく整備された公園なのだけれど、池に橋がかけられてあって、欄干には金属製の、丸みを帯びたちょうどイスラム寺院の塔みたいなのが取り付けられていた。で、その金属もかなり磨り減った痕があって、人間っていうのはこういうのがあると、摩ってみたくなるものなのかしらん、と二人で話したものでした。

そういえば、私の家に友人が泊まったときも、階段の手すりの先っぽにある丸みを帯びたところを、なんだか嬉しそうに摩っていたっけ・・・・

思うに、人間というのは(特に男性は?)、曲率半径にして、およそ5〜10cmの滑らかな凸曲面があると、手の腹の部分で摩りたくなるようにプログラムされているのかもしれません。


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