錠剤

学生が風邪をひいたりすると,「自己管理がなっとらんからだ」などとエラそうなことを言っているくせに,不覚にも風邪をもらってしまった(私にうつしたと思う人,自首しなさい)。 熱はあまり出ないかわりに,喉が痛くて咳もひどい。 夜もなかなか寝付けなくて辛かったので,薬を出してもらいに近所の病院に出かけた。 

診察は予想通り実に簡単だった。 懐中電灯で喉の奥を見て,シャツをめくり上げて,胸と背中に聴診器を当て,「普通の風邪ですね」。 こちらも,単なる風邪と思っており,あんまりじっくりと診てもらうのもかえって恥ずかしかったので,医師のこうした診療姿勢はむしろ好ましく思えた。

聴診器を当てられている間,診察室の壁を見上げると,英語の賞状のようなものがふたつ,額に入れて飾ってあった。

処方してもらった薬の袋には,抗生物質(クラリシッド),消炎解熱鎮痛(ロキフラン),咳(ナルコチン),のど(トラネキサム酸),咳(ブロコデ)と書いてあった。1日2回の薬と3回のとがあるので,よく見てから飲まないと間違えそうだ。 そんなわけで,薬の包装をまじまじと眺めているうちに,ふとした疑問が生じた。

トラネキサム酸は,オレンジと黄色の2色のカプセルで,全部で15個出されたうち,(包装の文字が正しく読める向きにしたとき),オレンジが左向きが10,右向きが5個あった。

ナルコチン錠は小さなタブレットで,全部で30錠あって,そのうち切れ目のついた面が上を向いているのが11,下向きが19あった。

これは統計的に見て有意な偏りなんだろうか・・・ でもそんなことを考え出すと,ますます眠れなくなりそうなので,とりあえず学生達の宿題にしてしまおう。


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