3月中ごろのある日曜日、隣家の屋根のあいだに陽が落ちるのをぼんやりと眺めていた。霞のかかったような空に、妙に白っぽくてコントラストのはっきりしない太陽が浮かんでいた。
それから一ヶ月くらい過ぎた日曜の夕方、同じ場所から西空を見ると、太陽は写真の範囲からすっかりはみ出してしまい、右の家の屋根の真中あたりのアンテナの上、それもかなりまだ高い位置で輝いていた。
「ほら、ついこの間はまだXXXXさんちの屋根のあの端っこの辺りに沈んでたんだ・・・」
と妻に話しかけてみたけれど、一応の返事だけで、それ以上会話は続かなかった。
季節は本当に駆け足で過ぎていく。 普段は目障りにしか思わない電柱や屋根のアンテナさえも、こうしてしっかり時を刻んでいたのだ。