点火プラグ

正月早々 家の暖房が故障した。 2日の夜のことだった。 しばらくは寒い思いをしなければならないのか、と半ば諦め気分で大手電機メーカーのサービスセンターに翌朝電話したところ、意外にもすぐに繋がって、修理を依頼することができた。 さすがに技術者は正月休み中で、対応できるのは4日からだという。 約束通り4日の朝一番に技術者から連絡が入り、実際に出向けるのは午後になるということだった。 あいにくその時間帯は仕事で家を空けなければならず、事情を説明したところ 「原因はおそらく室外機にあるから、エアコンのコンセントを抜いておいていただければ、留守の間に伺って修理しておきます」との返事。 帰宅してスイッチを入れてみると、何事もなかったかのように温風が吹き出した。 

担当の技術者は修理のツボを心得ているらしく、電話で説明した症状だけを手がかりにあっさり問題を解決してしまった。 だが、むしろ感心したのは、その対応に「正月早々、寒い思いをしてさぞやご不便なことでしょう・・・」といったキモチが感じられたことで、少々大げさではあるけれども、暗い幕開けのように思われた2002年に明かりが(暖房が?)灯されたようだった。 

郵便受けには交換した部品2点とメモが残されていた。 (おそらく)コードの付いているほうがフレームセンサー、もう一方が点火プラグ。 数年間の使用の末にどちらもかなり消耗している。

当たり前のようで不思議なのは、こうした部品は徐々に消耗していくはずなのに、暖房機はある時突然動かなくなってしまったことだ。 部品の消耗とともにエラーの頻度が次第に増える、といった風ではなくて、完全にウンともスンとも言わなくなってしまう(正確には、エラーを表示して止まってしまう)。

もっとも、長期間炎にさらされボロボロになってしまった部品の表面を指で撫でてみると 「もう勘弁してくれよ」と言っているようだった。


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