その日の目的地のハーブ園は、ゴルフ場に少し余計に草花を植えたような感じのところだった。あんまり暑いので、妻があちこち観てまわっている間、木陰のベンチでひとりで休憩することにした。靴を脱いでごろんと横になると、プラタナスの大きな葉が幾重にも重なって、強烈な日差しを遮っている様子がよくわかる。植物のほとんどは水で出来ているわけだから、僕は薄い水のバリアーで太陽から守られているようなものだ。
時折涼しい風が吹いて、暑いながらもいい気分に浸っていると、突然頬に冷たい感触。両手に冷たいジュースを持った妻が立っていた。