ビルのすき間

市街地のビルとビルのすき間は、人がひとり入れるか入れないかくらいの幅しかなくて、どうやって壁面の工事したんだろうと不思議に思うことも少なくない。 全体の幅が10メートルもないようなビルも珍しくないから わずかなすき間と言えども、消費税の分くらいは土地を無駄にしている場合もある。 いっそ長屋方式にしてしまえば すき間の分だけ容積が稼げるかもしれないが、そうも簡単にいかないだろう。 隣との境が一枚の壁というのは、昔のベルリンみたいで、トラブルのタネになりそうだし。

ビルの正面がさまざまであるように、ビルのすき間にもそれぞれの表情があるようだ。例えばここすき間には、肩幅くらいのところに配管が配線が走っていて、他と較べ随分と有効利用されている。 そして、実に意外なことは、すき間にほとんどゴミが溜まっていないことだ。 近所の学生の居室よりも綺麗なくらいだ。 

学生の頃、飛騨の実家に帰省してゴロゴロしていたら、母親から掃除に行けと言われた。観光地ということもあって、道端のゴミを集めて歩く「XXXXクリーン作戦」みたいなのがあるのだと言う。 小雨模様の中、親に借りたかなり窮屈な雨合羽を着て峠の道端をゴミ拾いして歩いた。 すると、あるはあるは、袋はすぐにいっぱいになった。 だだっ広いところに向けて空き缶を投げるのは快感なんだろうか・・・

こんな街中にもかかわらず、空き缶やコンビニ袋が見当たらないのは、ひょっとして、ビルのすき間を掃除して廻る、そんな すき間産業 があるのかもしれない。


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