かれこれ何年も前のこと、妻が玄関脇で育てていたナデシコの鉢植えに小さな来客があった。それは、どこにでも居そうな蛙だったのだけれども、わざわざこの家を選んで訪れたのかと思うと、何となく愛着が湧いた。妻と僕は親しみを込めてその蛙を「ナデちゃん」と呼び、様子を観察したものだ。それからしばらく、ナデちゃんは鉢植えの同じ場所でじっと暮らしていた。

その後、庭に来た小さな蛙は、すべて「ナデちゃん」ということになってしまった。一代目のナデちゃんの血を引いているのかどうか、それは何とも分からないけれども、そんなことは大して重要な問題ではなかった。

その日も妻が、「ナデちゃんが来ている」というので庭に出てみると、小刻みに呼吸しながら、バラの枝で日向ぼっこをしていた。カメラを近づけると、そのナデちゃんは、迷惑そうにチラッとこちらを見た。


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