コーヒー

旅先で美術館や博物館に足をのばしても,1部屋も観終わらないうちにくたびれてしまい,そそくさと喫茶店やレストランに入って,コーヒーを飲みながらぼんやりと過ごすことが多い。 僕の神経は「鑑賞」には向いていないのかもしれない。 そういった類の施設に入っている喫茶店は,ほぼ確実に空いていて,店員もそれほどやる気はなさそうで客を気にしておらず,値段が少し高めなことをのぞけば,言うことなしだ。

どこの美術館でも,展示室の隅っこには,制服の女性が何もしないでじっと座っている。 たまに居眠りをしている人もいるけれど,大抵はただじっとしていて,すごい気力だなぁ,といつも感心する。 その忍耐を思えば,絵を観てくたびれたなどと言っていてはいけないのだろうな。

外の公園では,近所の人が犬を散歩させたり,そこに住み着いているホームレスが集まって何か話していたりと,有名建築家の手によるこの立派な美術館など全く気にもとめず,いつもの通りの時間が流れていた。


写真と文に戻る