搭乗口

札幌への出張の帰り,新千歳空港は雪模様になった。 これから出発するはずのジェット機の周りでは,エイリアンの兵器のような怪しい機械がやってきて,移動しながら機体に積もった雪を払いのけていた。 それでもじきに機体は雪で真っ白になり,それをまた取り除く。 きりのない作業だ。

搭乗が終わり滑走路に向かったが,なんだか様子が変だ。 しばらくすると機長からアナウンスがあって,除雪のために滑走路が閉鎖されたとのこと。 駐機場までふたたび戻って,滑走路が再開されるまで一時間以上を機内で待つことになる。 広い空港の敷地をバスの代わりにジェット機で行ったり来たりするのはなんだか可笑しい。

乗客からの要求があったのかどうかは知らないが,しばらくすると移動式の通路が「接岸」され,携帯電話を使いたい人は降りても良いとアナウンスがあった。 と同時に,かなりの人数が携帯を片手に出口につめかけた。 そのとき飛行機はただ待機しているだけだったけれども,どんな状況であれ,携帯を機内で使ってはいけない規則になっているのだろう。 あの金属容器の中で,皆が一斉に電波を出して電子レンジ状態になるのは,確かにごめんこうむりたいものだ・・・

結局1時間10分ほど遅れはしたものの,無事に仙台空港に到着した。 市内に向かうバスの中では,後ろの座席の女の子が小声で自宅に電話していた。 もう最終のバスがないので,電車で帰ること。 どうやら親が駅まで迎えに来てくれそうなこと。 母親も一緒に迎えに来ると言っているのだけれど,その子は来なくていいと言っていること・・・・ 別に聞き耳を立てているわけでもないのに,勝手に聞こえてきた。 ひょっとすると,僕の脳みそは電波を感じることができるのかもしれない?


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