僕は,休みともなれば海に山に朝早くから出かける,といったタイプではないし,妻のほうも「ぼーっとしているのが好き」といったタチの人なので,そろって休みの日でも夫婦でごろごろと「無駄に」時間を過ごすことが多い。
それでも,春になると陽気にさそわれて,ドライブしたりはする。 山形と宮城の県境に位置する船形山に向かう途中の,少しわき道に入ったこの場所には,花見をしに何度か訪れたことがある。 土手の小さな桜の木の下の,ほんの三畳ほどの草の上で,ダムの様子を見下ろしながら弁当開きをするのが目的だ。
久しぶりにその場所に立ってみると,辺りの様子は意外なほど記憶そのままだったけれども,何故か以前のようには居心地のよい場所に感じられなかった。