今年、集中講義やセミナーでお世話になった九州大学のNさんから突然メイルがあって、そこの職場のHさんが東北大に来られたときに、博物館でアンモナイト(ammonite)の化石の中(上?)に不思議な模様を見つけられたとのこと。あいにくカメラを持ち合わせていなかったので、写真に撮って欲しいとの依頼がありました。
そこで、散歩てくてく、写真に撮って参りました。
入館するといきなり目に飛び込んできたのが右です(枠のある画像はクリックすると、拡大画像がご覧いただけます)。
写真右下の赤っぽいところを拡大しますと左のようになっています。所謂(と言っても、一般にはあんまり使わない言葉かもしれませんが)樹枝状のパターンがはっきりと見てとれます。
これは確かに不思議ですな・・・ わざわざ彩色してあるのは、お客へのサービスなんでしょうか。
さらに奥に進むと、化石や鉱物の類がずらりの陳列されていて、何から見たら良いのか困ってしまいますが、とりあえずアンモナイトに照準を絞ることにいたします。
これは、何気なくその辺に転がっていた路傍のアンモナイトです。その昔は、海辺を散歩すると、こういうのが沢山転がっていたのでしょうか。ちょっと不気味な気もいたします。幸いにして(?)人類はその頃まだ居なかったわけですが・・・
よーく目を凝らしてその表面を見てみると、この化石の表面にも確かに木の枝状の模様のヒダが見えるではありませんか。
話しは全く関係ありませんが、岐阜県の飛騨地方(私の出身地)のヒダという名前の語源は、山を遠くから眺めたときに、その表面に筋状の模様(つまりヒダ)が見えたからだという説もあるそうです。
これは、その昔、中学時代に、クラブ活動の遠征からの帰路、マイクロバスの中で顧問の先生が遠くの山を見ながら話してくれました。山の好きな先生でした。
なんだか、行けども行けどもアンモナイト、といった感じになって来ました。
さらに奥には、ガラスの向こう側にこんな綺麗な標本も展示されていました。これはかなり模様が細かく、緻密な感じです。
もう、こうなると、アンモナイトの表面には、樹枝上の模様があるのが当たり前 といった雰囲気になって参ります。
最初、この話しをメイルで依頼されたときは、その樹枝上パターンは、堆積岩の中を層状(二次元的)に鉱物が結晶成長したものじゃなかろうか、と思いました。が、どうもそうではなさそうです。
折角来たのだからと、博物館の二階にも足を運んだところ、そこにこんな掲示物を発見!
どの写真もそうですが、あまり感度の良くない、パンフォーカスのデジカメ(SANYO DSC-X100)で、しかも暗いところで撮影したため、ブレやボケが少々気になりますが、どうぞその点、ご容赦願います。
で、その質問コーナーみたいなところには、アンモナイトの模様について、こんな感じの説明がなされていました。
縫合線というのは、アンモナイトに限らず、骨のつなぎ目の部分なんかもそう呼ばれるみたいです。例えば頭蓋骨の縫合線はよく知られた例ですが、そのパターンが自己アフィンフラクタルでよく記述できる、といった話しも聞いたことがあります。
結局のところ、理由はよくわかりませんが、殻の中に隔壁を左官工事的に増設する際に、殻と隔壁を融合するために殻の中まで材料を拡散・凝固させるプロセスによってこういうパターンが出現するのだとしたら、DLAなどとも接点があるのかもしれません。