DCWから乗り換える
DCW(東北大学ディジタルコースウェア)を教材配布に使った経験のある方が、ISTUで同様の使い方をする際の基本的な操作を整理してみました。
DCWではできて、ISTUでは(今のところ)できないこと
基本的にISTUはDCWよりも遙かに高機能ですが、設計思想が異なるために、DCWではできるけれど、ISTUではできないこともあります。
ISTUには公開講座用の動画を発信する機能がありますが、通常の授業で用いる教材の一般公開はできないようです(たぶん)。
それは、教材の公開範囲の設定です。ISTUのお客さんは授業の受講者ですので、教材の公開範囲は受講者限定です。 これに対して、DCWはMITのOpenCourseWareなどを意識して作られた(と思われる)ので、 「受講者のみに公開」に加えて、「学内に公開」、「パスワード付きで公開」「全世界に公開」、をコースごとに選択できます。
受講者以外にも広くコンテンツを公開したい場合は、(ISTUがこうした機能に対応するまでの)当面のあいだは、 Googleなどのクラウドサービスを利用するのも手かもしれません。
DCWでは、ひとつの大きな教材箱の中に、教材(ファイル)を順に「詰め込む」イメージで、操作します。 一旦入れた教材は、後から、表示の順序を変更したり、一時的に外部から見えないように設定することが可能です。
ISTUでは、PDFはPPTなどの配布資料の他に、テストやレポートなど、多様な「教材」を扱うことができます。 そのために、「配布資料」という教材を複数個作成することができて、その配布資料の中に、最大10個の ファイルを登録することができます。 科目(コース)毎には、デフォルトで「共通教材」という「教材箱」が用意されていますが、 その中に、さらに複数の「配布資料」という教材は作成する、というイメージです。
大きな教材箱(「共通教材」)の内部の教材の順序や、「配布資料」中のファイルの並び順を、 後から変更する機能は、残念ながら現状のISTUには備わっていません。
授業科目(コース)を選択するまで
DCWの教員用ページにログインして、「マイ時間割」を表示すると、担当科目が選べるようになっています。 こうした流れに対応するISTUの操作は、以下の通りです。
ISTUにログインする
ISTUの入り口は、教員も学生も共通です。 学内からはこちらから 東北大IDとそのパスワードを使ってログインすることができます。 学外からは(DCWと同様に)SRPを経由してログインすることができます。
ログインすると、DCWに比べて、沢山の「パーツ」で構成されたISTUのトップページが表示されます。 初めて見ると、とても複雑そうな印象を受けるかもしれませんが、 とりあえず気にすればよいのは、画面上部の
ボタン、画面右上の ボタン、 そして、画面右側の「担当授業科目/コンテンツ編集」の欄(下図)だけです。
トップページ右下に見える「担当授業科目/コンテンツ編集」の区画
ここが「マイ時間割」に相当。
迷子になったら、とりあえず
あちこちをクリックして、自分の居場所が分からなくなったら、とりあえずは画面上部の
ボタンを押せば、いつでも振り出しに戻れます。授業科目(コース)を選択する
DCWの「マイ時間割」に相当するのがISTUの「担当授業科目/コンテンツ編集」欄になります (ただし、「時間割」形式ではなくて、単なるリストです)。 担当科目の一覧が掲載されていますので、リストの中から目的の科目(コース)をクリックして開きます。 すると、こんな感じの画面が現れます。
授業科目を開いたところ。「共通教材」がそのコースの教材箱に相当。
共通教材を開く
「教材箱」にあたるのが、表の中の「共通教材」になります。「共通教材」をクリックして開きます。すると以下のような画面が現れます。
「共通教材」を開いたところ。教材のリストが表示されている。
ここに表示されているのが教材のリストです。 コースには電子掲示板があらかじめ設けられているのがわかりますが、ここでは細かいことはここではスキップ。 その他の教材はまだ空っぽの状態です。
教材を登録する
DCWで教材を登録・変更する場合には、科目を開いた状態で、画面右上の
ボタンを押して、「授業設定」の画面を開きます。 画面に配置された大きなボタン ボタンをクリックすると、「資料アップロード」や資料の順序変更・削除を行う画面にジャンプします。 また、「授業設定」の画面には、連絡事項やシラバス、授業に関係するその他の設定機能も提供されています。ここでは、DCWの「資料アップロード」に相当する作業を、ISTUで行ってみましょう。
教材の新規追加
教材箱(「共通教材」)を開いたところで、これに教材(資料)を追加するには、画面中程の四角い
ボタンを押します。すると、追加する教材の種類を選ぶ画面に遷移します:
教材の種類の選択画面。ISTUでは、配布資料のほか、レポートやテストなども、すべて「教材」と考えます。
ここで、 ボタンを押して、ファイルのアップロード画面に進みます。
ISTUでは様々な教材を扱えることがわかります。ここではそれらのボタンの中から、中程の
ボタンのボタンをクリックします。教材のアップロード
すると、教材のタイトル、公開期間、資料名などを設定する画面が現れます:
資料のアップロード画面。
それぞれの欄を埋めて、資料名も記入し、
ボタンを押して、アップロードするファイルをパソコンの中から選択します。 ここで、DCWと考え方が少し違うのは、ISTUではひとつの配布資料に複数のファイルを含めることができる点です。 配布資料を構成する全てのデータについて記入とファイル選択が完了したら、最後に、画面右上の ボタンを押すと、アップロードが始まります。 おしまいに確認のダイアログが出ますので とこたえます。 すると、元の教材のリストの画面に戻って、掲載された教材の一覧。
のように、そこに新しい教材が1件追加されているのが確認できます。
上記の操作を繰り返せば、何件でも、教材を登録することができます。 DCWでは、教材の種類(授業ノート、配布資料、その他資料)を分類して登録できましたが、ISTUの配布資料には、特にそういったカテゴリー分けはありません。 通常は、これがもとで不都合が生じることはないと思われます。
教材を管理する
DCWでは、アップロードした教材の「並び順」を整える機能がありましたが(教材リストの△▽ボタンを押す)、 ISTUの配付資料は、基本的にアップロードした順に表示され、表示の順番を後から変更する機能は用意されていないようです。 それで困ることはないとは思いますが、授業の進行に合わせて教材を配置したい場合、 ISTUでは(「共通教材」ひとつで済ますのではなくて)毎回の授業に教材箱を設けることもできます。 このあたりについては、こちらのページもご覧ください。
教材の削除
要らなくなった教材を削除するには、教材の一覧が表示されている画面(コンテンツ一覧)で、教材の一覧表の左端のチェックボックスのうちから、 削除したいものにチェックを入れてから、
教材の一覧表の左列のチェックボックスから教材をまず選択。
削除ボタンを押して(ダイアログでOKすれば)、完了です。
削除するのがもったいない場合は、教材の一覧から教材のタイトルをクリックして、 現れた「配布資料設定」の画面で、「状態」を「非公開」にすれば、とりあえず見えなくすることもできます。 作業の最後には
ボタンを押すことをお忘れなく。教材の再利用
DCWでは、前年度の授業枠のコンテンツが、翌年度に引き継がれていたはずです。 ISTUでも同様の「授業(コース)」使い回しが可能ですが、若干の手間が必要です。 詳細はこちらをご覧ください。
教材を確認する
DCWは、教員用と学生用の入り口が異なるため、教員が学生用の入り口からログインすることで、学生側の様子を確認することができます。 また、教員用の入り口からログインした場合でも、
ボタンを押さなければ、学生とほぼ同様の見え方になっています。 一方、ISTUの入り口はひとつで、ログインした後に、「教員モード」と「学生モード」を切り替えて使うようになっています。学生の画面の様子を確認する
ISTUのトップページの右列の「担当授業科目/コンテンツ編集」の下の区画、「受講授業科目/受講生向け表示確認」に、担当している科目が曜日ごとにリストされています。 ここの科目名をクリックすると、各コースが学生にどのように見えるのかをシミュレーションすることができます。
トップページの「担当授業科目/コンテンツ編集」のエリア。
確認が終わったら、画面上部の
ボタンで戻るのが手っ取り早いと思います。学生側の準備
ISTUで資料などを配布した場合、学生はちゃんとそれらを閲覧できるのか、ちょっと心配になります。 でも、これまでの様子を観察した経験では、デジタルネイティブな彼らにとって、ISTUの操作は たいして難しくもないようです。
学生に対しては、とりあえず、ISTUのログイン先URL
https://xapp.istu.jp/
だけ知らせておけば、後は、何とかなる(する)と思います。
教育系の情報サービスの概要や詳しい使い方をまとめたオンラインガイドが 用意されていますので、基本的な情報源として、学生に周知いただくのが良いと思います:
http://www.dc.tohoku.ac.jp
なお、2012年度までは、基本的な情報サービスの使い方をまとめた冊子『東北大生のための教育系情報システム活用ガイド』(共立出版) が生協で500円(組価・税込)で販売されていました。
その他
もともとDCWは、簡単な操作で教材が配布できることを目指して作られたようなので、それに較べると、 ISTUはごちゃごちゃとした印象を受けるかもしれません。 また、どちらかというと、仕掛けが単純な分、DCWのほうがきびきびと動作するようです。 ただ、これらのシステムをそれほど使い込んだわけではありませんけれど、私自身は、ISTUさえあれば DCWを敢えて使う理由は今のところ思い浮かびません。 使い勝手の面では、ISTUのさらなる進化に期待しているところです。